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1.バークシャー・ハザウェイを率いるウォーレン・バフェット氏
今回は、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイ(BRK)の2022年12月末時点でのポートフォリオについて見ていきたいと思います。
バフェット氏は、「投資の神様」や「オマハの賢人」と呼ばれることがあることからも分かるように、過去35年間(1987-2021年)の年平均リターンは、15.6%と驚異的なものとなっています。(同期間のS&P 500の年平均リターンは、8.9%。)
ただ、下の表に示すように、最近の10年間で見ると、やや様相が異なっていることが分かります。
年平均リターン | BRK | S&P 500 | 超過リターン |
過去3年間(2019-2021) | 13.8% | 23.9% | -10.1% |
過去5年間(2017-2021) | 13.0% | 16.3% | -3.3% |
過去10年間(2012-2021) | 14.7% | 14.3% | 0.4% |
過去10年間(2012-2021年)では、S&P 500とほぼ同等であり、過去3年間(2019-2021年)および過去5年間(2017-2021年)においては、S&P 500をアンダーパフォームしているのです。
これに関しては、米国株の上昇が続いていたことから、バフェット氏のお眼鏡に適うような割安株が見つかりづらかったことが要因の一つではないかと思われます。
実際、バークシャーの現金等の待機資金は、2010年頃より2021年末頃まで増加傾向となっていました。
2.米証券取引委員会(SEC)への報告書提出義務
さて、バフェット氏に限りませんが、著名投資家たちのポートフォリオを知ることができるのには理由があります。
これは、米国では運用資産が1億ドル以上の機関投資家は、四半期ごとに証券取引委員会(SEC)への報告書提出が義務付けられているためです。
この報告書は、SECのホームページから閲覧することができ、著名投資家たちのポートフォリオの保有銘柄や株数などを知ることができるのです。
ただ、各四半期末から45日以内が報告書の提出期限であることから、公開されたポートフォリオが最新のものであるとは限らない点には注意が必要です。
また、公開されるのは、米国上場株および、ロングポジションのみとなっています。
さて、各四半期から45日以内が提出期限ということから、2月中旬、5月中旬、8月中旬、11月中旬に報告書が更新されることが多くなります。
つまり、23年2月中旬頃には、著名投資家たちの22年12月末時点でのポートフォリオが数多く公開されるというわけです。
3.バークシャー・ハザウェイのポートフォリオ
それでは早速、バークシャー・ハザウェイの2022年12月末時点でのポートフォリオを見ていきます。(図では上位15銘柄を示しています。)
また、この四半期前の2022年9月末のポートフォリオを示したのが下図になります。
この両者間の違いを際立たせるために、ポートフォリオ全体に対する影響度の大きかった銘柄を中心に見ていくことにしたいと思います。
4.バークシャー・ハザウェイの主な売買銘柄と総括
まず、22年10月から12月末までの間に、買い増しされた銘柄は下記の3銘柄のみで、いずれも微増に過ぎませんでした。
ティッカー | 銘柄名 | 増加率(%) | 組入比率(%) |
LPX | Louisiana-Pacific Corp | 0.02 | 0.14 |
AAPL | Apple Inc | 0.01 | 38.9 |
PARA | Paramount Global | 0.01 | 0.53 |
次に、22年10月から12月末までの間に、売却された銘柄は下記の6銘柄となっていました。
ティッカー | 銘柄名 | 減少率(%) | 組入比率(%) |
TSM | Taiwan Semiconductor Manufacturing Co Ltd | -1.20 | 0.21 |
USB | U.S. Bancorp | -0.97 | 0.10 |
BK | Bank of New York Mellon Corp | -0.48 | 0.38 |
ATVI | Activision Blizzard Inc | -0.19 | 1.35 |
CVX | Chevron Corp | -0.12 | 9.78 |
MCK | McKesson Corp | -0.04 | 0.36 |
これらの表から、何より目を引くのは「TSM」です。22年7月~9月末(前四半期)の間に大きく新規買いしたばかりの「TSM」の大半を売却していたからです。
また、前四半期に続いて、「USB(U.S.バンコープ)」「BK(バンク・オブ・ニューヨーク・メロン)」といった金融株も売却しています。
とはいえ、バークシャー・ハザウェイのパフォーマンスは、ポートフォリオの4割を占める「AAPL(アップル)」に良くも悪くも左右される面が大きいと言えます。
23年に入ってからの「AAPL」の株価は堅調な値動きを見せており、FRB(米連邦準備制度理事会)が3月21~22日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げ幅を0.5%に戻す見通しが高まったことによる影響もほとんど受けていないように見えます。
このような値動きを見ると、まだまだハイテク関連銘柄の株価は底堅く推移するであろうことが予想されます。
ただ、インフレ率の低下が緩慢なものとなり、高水準の政策金利が24年にかけて続く可能性もあるため、どこかでハイテク関連銘柄の株価が転換点を迎える展開も想定しておいた方が良いのではないかと思われます。