1.本書の概要
ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。
- めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAi「1000万円株バトル!! 」優勝者が教える デイトレ&スイング 株ですぐに儲ける法
- 著者:Tyun
- 出版日:2013/4/26
- お役立ち度 :
- 難易度 :
- マニアック度:
- 分類:株式投資、個別株、デイトレ
まずは、本書の概要からです。
本書では、「1000万円株バトル!!」のチャンピオンが、どんな相場でも儲けを生み出す投資法ということで、デイトレードおよびスイングトレードについて書いています。
なお、本書の章立ては、以下のようになっています。
- 第1章 いま勝てる手法はデイトレ&スイングしかない
- 第2章 まずデイトレードを始めよう
- 第3章 デイトレ&スイングに向いた銘柄を探そう
- 第4章 デイトレ&スイングの基本
- 第5章 デイトレ&スイングで勝つためのコツ
- 第6章 寄り前の板から、市場を読み取る
- 第7章 ストップ高の心理を読む
- 第8章 自分のトレードを進化させよう
2.デイトレ・スイングの特徴
デイトレードやスイングトレードについては、何か明確な定義があるわけではありませんが、本書では数分から数日程度の投資としています。
そして、「リスク管理がしやすい」、「爆発的に資産を増やすことも可能」などの理由から、デイトレードやスイングトレードがお薦めだと述べられています。
一方で、「取引回数が多く手数料が高くなる」、「ザラ場(寄りから引けまでの取引時間)を見ることができないと不利」などといったデメリットについても触れられています。
また、第3章では、デイトレに適した銘柄として、次のような条件を挙げています。
- 十分な流動性がある
- 十分な値動きの変動幅(ボラティリティ)がある
- 貸借銘柄である(空売りができる)
これを踏まえた上で、対象銘柄を見つけるための3つの方法について言及しています。
- ニュースやIR情報をチェックする
- チャートから高値抜きしそうなものを探す
- 自分の好きな動きをしているチャートを見つける
3.デイトレ・スイングの基本
第4章では、デイトレやスイングの基本は、ブレイク狙いで株価の流れについていくことが大前提になると書かれています。
ブレイクとは、株価がいままでにつけた高値や移動平均線、キリのいい株価(例えば1000円)などを突破して上に行くこと(あるいは安値を突破して下に行くこと)を指します。
また、以下のようなことにも言及されています。
- 乱高下したあとのトレンドに乗る:ニュースや材料が出た瞬間の値動きを狙うよりも、一段落してからのブレイク狙いのほうがリスクは低い
- 25日移動平均線で株価のトレンドをつかむ
- 判断指標は「価格帯別出来高」と「直近の高値・安値」:価格帯別出来高の集中地点や、直近の高値・安値付近のブレイクを狙う
- ブレイク狙いなら、買いよりも売りのほうがいい:下へのブレイクは、株価が下落するのが速い
第5章では、損切りについて、以下のどれかのときに行うと書かれています。
- あらかじめ想定した株価の動きと大きく異なったとき
- 持ち続けるか切るか迷ったとき
- 需給が悪化したことを読み取れたとき
4.貸借状況を参考にする
第5章では、貸借状況についても触れられています。
貸借状況というのは、信用買いに対して信用売りがどの程度入っているかを示すものです。
基本的に信用買いが少なく信用売りが多い銘柄は、将来、多くの買戻しが期待できるため上がりやすいとされます。
逆に、信用買いが多く信用売りが少ない銘柄は、将来の売り圧力が懸念されるため下がりやすいと言われます。
この貸借状況に関して、特に急騰している株や仕手株の空売り時には、十分な警戒が必要だとのことです。
ただ、それ以外の場合では、地合、チャート、出来高、需給、そして業績やニュースなどのほうが、貸借状況よりも株価に影響を大きく及ぼすことが多いので、それらを補足するものとして考えると述べられています。
5.板情報の読み方
第6章では、板情報の読み方として、「板は厚いほうへ動く」ということが書かれています。
一見、板の薄いほうが崩れやすそうに思えますが、買い板が一瞬で崩れなければ、意外に落ちないものなのだと言うのです。
それは、一瞬で崩れないということは「それだけ板に差があっても、実際の買いのパワーと売りのパワー(すなわち需要と供給)が釣り合っている」からだということです。
しかし、そのような薄い板が一瞬で蹴散らされてしまうという可能性もあるため、ある一定時間(3~5分程度)は膠着しているかどうかの見極めが大事になってきます。
なお、第7章ではストップ高の比例配分についても言及されていますが、これに関しては、労多くして益少なしと思われるため、割愛させていただきます。
6.総括
本書では、板情報の読み方について、実例を挙げての解説もされていますが、やはりデイトレードは、日中にザラ場を見たり、PCの前に長時間張り付いていないといけないというのが難点です。
ただ、本書で取り上げられている、「価格帯別出来高」や「直近の高値・安値」などのブレイクを狙うという考え方は、より時間軸の長いモメンタム投資に通ずるものでもあります。
一方で、資金管理や利食いについては触れられておらず、片手落ちといった感が否めません。
あくまでデイトレードの入門書という位置づけではありますが、あえて本書を読む必要性というのは限りなく低いでしょう。