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1.景気を測る主な指標
「株価は景気の先行指標」と言われたりしますが、景気と株価の関係性について実際のデータを基に見ていきたいと思います。
景気動向を測る主な指標としては、以下の3つが挙げられます。
- 業況判断指数(「業況判断DI」または単に「DI」)
- 日経産業天気インデックス(日経DI)
- 景気動向指数(CIとDI)
ここでは、上の二つ(業況判断指数と日経産業天気インデックス)について書いていきます。
なお、一番下の景気動向指数については、景気動向と日経平均株価②のところで書いていますので、よろしければご参考下さい。
2.業況判断指数(業況判断DI、DI)とは?
まずは、業況判断指数についてですが、業況判断指数は業況判断DIや単にDIとも呼ばれます。
DIというのは、Diffusion Indexの略で、diffusionには拡散や発散といった意味があります。
これが、指数を意味するIndexと組み合わさって、Diffusion Indexとなると、業況判断指数や景気動向指数と訳されるのです。
ここで、後者の景気動向指数というのは上記に挙げた景気動向を測る指標のうちの一つですが、これについては別の記事で書いていきます。
そして、ここでのDIは業況判断指数のことを指していますが、このDIというのは日銀による全国約1万社を対象とした調査で、企業の景況感を数値化した指標になります。
具体的には、企業の業況判断に関して「良い」、「さほど良くない」、「悪い」の3つの選択肢があり、「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を引くことで算出されます。
また、DIの調査は四半期ごとに(3,6,9,12月)行われ、翌月初旬(12月のみ当月中旬)に、大企業と中小企業をそれぞれ製造業と非製造業とに分けて公表されます。
3.業況判断指数と日経平均株価
業況判断指数は、その値がプラスであれば景気が上向いているという見方がされますが、中でも在庫の影響を受けて景気に敏感に反応するとされる、大企業/製造業のDIが特に注目されます。
では、実際に業況判断指数(DI)と日経平均株価との関係性について見ていきますが、両者の1983年3月以降の推移を示したのが以下の図になります。
なお、図を見やすくするために、バブル期の日経平均株価は一部カットして表示しています。
業況判断指数と日経平均株価の推移(1983年3月~)
この図を見ると、日経平均株価が天底をつけてから遅れてDIも天底をつけており、やはりDIが株価の先行指標とはなり得ないことが分かります。
ただ、特に注目される大企業/製造業のDI(赤い線)に着目すると、基準となる0%水準(紫の点線)を下回ると、日経平均株価が底値圏となっていることが多いように見受けられます。
今後の相場でも同様の傾向が認められるか注目したいところです。
4.日経産業天気インデックス(日経DI)とは?
次は、日経産業天気インデックスについてです。
日経産業天気インデックスは、上記のDIと似た動きをすることから、日経DIとも呼ばれます。
日本経済新聞社の記者が担当業界の景況を、晴れや曇りなどといった天気の形で予測・判断しており、それを数値化したものが日経DIになります。
具体的には、晴れ:100点、薄日:50点、曇り:0点、小雨:-50点、雨:-50点として、30業種の単純平均によって算出されます。
また、日経DIは四半期ごとに(1月初旬、3,6,9月下旬)、当該期の確報値と翌期の予測値が公表されます。
5.日経産業天気インデックスと日経平均株価
そして、日経産業天気インデックス(日経DI)と日経平均株価の2002年4月以降の推移を示したのが以下の図になります。
日経産業天気インデックスと日経平均株価の推移(2002年4月~)
この図からは、日経DIもDIと同様に、日経平均株価の天底にやや遅れて天底をつけるような形となっていることが分かります。
ただ、DIのときと同様に、日経DIが-20点水準(赤の点線)を下回ると、日経平均株価が底値圏であるという見方はできるかもしれません。
なお、初めにも書きましたがもう一つの景気を測る指標である景気動向指数については、景気動向と日経平均株価②のところで書いていますので、よろしければご参考下さい。