相場のデータ・指標

バフェット指数で相場の天底を見極める!

1.バフェット指数とは?

バフェット指数というのは、その名の通りウォーレン・バフェット氏が用いているとされる指標のことです。

ちなみに、言うまでもないかもしれませんが、ウォーレン・バフェット氏は世界的に有名な投資家で、「投資の神様」、「オマハの賢人」などと言われたりすることもあり、世界長者番付では上位の常連でもあります。

このバフェット指数は、ある国の株式市場が長期的な視点から割安な状態にあるのかまたは、割高な状態にあるのかを判断する際に用いられます。

具体的には、バフェット指数は以下の計算式で求められます。

バフェット指数=株式時価総額/名目GDP×100

この式から分かるように、バフェット指数というのは、その国の市場規模経済規模とを比較して、株式市場の情勢をはかるものになります。

2.株式時価総額

ここで、バフェット指数について書いていく前に、バフェット指数の算出に用いられる株式時価総額名目GDPについて簡単に触れていきたいと思います。

まずは、株式時価総額についてです。

バフェット指数は、元々は米国の株式市場を見るのに用いられていましたが、現在では日本をはじめとする他の国の株式市場でも用いられており、国によって株式時価総額を算出する対象が異なります。

そして、日本におけるバフェット指数の算出には、一般に東証1部の株式時価総額が使われています。

なお、米国におけるバフェット指数の算出には、あまり聞き慣れないものではありますが、Wilshire 5000(ウィルシャー 5000)という株価指数を構成する銘柄の合計時価総額が一般に使われます。

3.名目GDP

次に、名目GDPについてです。

名目GDP(国内総生産)とは、一般的には1年の間にその国で生産されたモノやサービスの付加価値の合計額と定義されますが、大まかに言うとその国の経済活動の水準、あるいはその国の経済力を示す指標になります。

また、GDPには名目GDPの他に実質GDPというものがあります。

実質GDPというのは、名目GDPからインフレなどといった物価変動の影響を取り除いたものです。

この両者に関しては、経済の実状を知る上では実質GDPが重視され、一方、景気や私たちの生活の実感に近いのは名目GDPであるとされますが、実際はそんなに単純なものではなく、こういった見方はあくまで参考程度のものに過ぎません。

そして、GDPは四半期ごとに内閣府より公表されていますが、各四半期末の1ヵ月半後に1次速報(速報値)が、2か月半後に2次速報(改定値)が公表され、毎年12月頃に第一次年次推計(確報値)が公表されます。

GDPの算出方法の詳細は公開されていないのですが、その算出基準となるデータの都合上、同じ四半期のGDPが速報値や改定値、確報値とで大きく異なる場合も珍しくありません。

さらに5年に1度は、算出基準の大幅な改定も行われます。

参考までにですが、2016年12月8日に公表された2015年度の名目GDP確報値では、新基準で研究開発費などが加算されるようになったため、約30兆円ほど嵩上げされる結果となっています。

このように、GDP統計は決して連続性のあるデータではないということには注意が必要です。

4.バフェット指数

では、ここからはバフェット指数について見ていきます。

以下の図は、1980年1月以降のバフェット指数と日経平均株価の推移を示したものになります。

バフェット指数と日経平均株価(1980年1月~)

この図からは、1980年代後半のバブル期や2006年~2007年のリーマンショック前と直近において、バフェット指数が赤線の100のラインを上回っていることが分かります。

そして、バフェット指数では100を超えてくると相場が過熱圏にあるとされ、調整に警戒が必要な水準とされています。

また、バフェット指数は緑線で示した55前後の水準において、日経平均株価の目先の底を示唆していることも見て取れます。

5.バフェット指数の使い方

さて、ここでもう一度バフェット指数の計算式を振り返ってみます。

バフェット指数=株式時価総額/名目GDP×100

この式から分かるように、バフェット指数が100を超えるということは、株式時価総額>名目GDPということになります。

これに関しては、上図と同期間(1980年1月以降)における東証1部時価総額と名目GDPの推移を表した以下の図を見ていただくと、イメージしやすいかと思います。

東証1部時価総額と名目GDP(1980年1月~)

オレンジで示した東証1部時価総額が青で示した名目GDPを超えてくると、バフェット指数が100を超えていることになり、注意が必要というわけです。

そして、上述したように名目GDPの値はそう頻繁には公表されないため、バフェット指数をフォローしていく上では、主に株式時価総額をチェックしていけばよいことになります。

日々の東証1部時価総額については、ウェブ上で日本経済新聞>マーケット>株式>国内株式指標より確認することができます。

また、直近の名目GDPは、内閣府の統計表(四半期別GDP速報)の統計表一覧で実額の名目季節調整系列から見ることができ、直近の2017年4-6月期では約542.8兆円と公表されています。

もちろん、バフェット指数が100を超えているからといって相場がすぐに調整するわけではありませんが、他の指標とも併せて見ていきながら、相場の調整には注意を払っておく必要があるといえます。

 

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