この記事では、新値銘柄数が相場の天井や大底を示唆するのかということを見ていきたいと思います。
1.新値銘柄数とその特徴
新値銘柄というのは、過去のある一定期間内における高値や安値を更新した銘柄のことをいいます。
特に高値を更新した場合は新高値、安値を更新した場合は新安値といいます。
この新値銘柄の数(新高値銘柄数と新安値銘柄数)は、東証1部や東証2部、ジャスダックといった市場ごとに日々集計されていますが、集計の仕方がやや特殊です。
具体的には、まず1月から3月までの間は、前年の1月から当日までの期間でみて新値をつけた銘柄の数が日々集計されます。
そして、4月から12月までの間は、その年の1月から当日までの期間でみて新値をつけた銘柄の数が日々集計されるのです。
ですから、1月から3月までは「昨年来」でみるため12ヵ月間から15ヵ月間における新値を、4月から12月までは「年初来」でみるため3ヵ月間から12ヵ月間における新値を集計することとなります。
つまり、時期によって新値を集計するのに用いられる期間が異なり、例えば4月中は3~4ヵ月間と短い期間における新値でみるため新値銘柄数が多く集計されやすいなど、データの重みに差があることには注意が必要です。
2.新高値銘柄数
それでは、まずは新高値銘柄数の方から見ていきます。
なお、次に見ていく新安値銘柄数についても同様なのですが、2014年1月以降の時系列データしか取得できなかったため、短い期間となってしまっていることについてはご容赦いただければと思います。
もちろん、それ以前の重要な場面については、分かる範囲で必要に応じて言及していきます。
以下の図は、2014年1月以降の新高値銘柄数と日経平均株価の推移を示したものです。
新高値銘柄数と日経平均株価(2014年1月~)
この図を見る限りでは、新高値銘柄数が200~300以上というのが、目先の天井を測るカットオフ値となりそうです。
ただ、新高値銘柄数のピークが日経平均株価の目先の天井に先行しているケースが多く、新高値銘柄数が大きく上昇したとしても、そこからさらに株価が上昇していく可能性というのは念頭に置いておく必要があるといえます。
3.新安値銘柄数
次に、新安値銘柄数についてです。
以下の図は、2014年1月以降の新安値銘柄数と日経平均株価の推移を示したものになります。
新安値銘柄数と日経平均株価(2014年1月~)
この図を見る限りでは、新安値銘柄数が600を超えてくると、目先の底を示唆しているといえます。
また、参考までに直近10年で新安値銘柄数が大きく上昇した場面のデータを、ネット上で検索して分かる範囲で取り出してみました。
それによると、例えばリーマン・ショック後の2008年10月には、新安値銘柄数が1202をつける局面がありました。
また、東日本大震災後の2011年3月15日には新安値銘柄数が1048をつけていました。
ただ、新安値銘柄数が1000を超える機会というのは滅多にあるものではありません。
上記以外に直近で1000を超えたのは、上図にもあるように2016年2月12日の1023のみで、これは2015年末の原油安ショックから2016年1月29日の日銀マイナス金利導入後に、底値を形成していく過程で表れたものでした。
ですから、この図からも見て取れるように、新安値銘柄数が600を超えてきたら目先の底値であると判断しても良さそうです。
もちろん新安値銘柄数においても、600を超えた後に株価がさらに下落していく可能性というのを意識しておく必要があるのは言うまでもありません。
よく言われるように、相場に絶対というものはありませんので。