景気動向と日経平均株価①のところでは、景気動向を測る主な指標として以下の3つを挙げ、そのうち上の2つについて書きました。
- 業況判断指数(「業況判断DI」または単に「DI」)
- 日経産業天気インデックス(日経DI)
- 景気動向指数(CIとDI)
ここでは、一番下の景気動向指数について書いていきたいと思います。
Contents
1.景気動向指数とは?
景気動向指数とは、景況判断や景気動向の予測に使われる経済指標のことで、内閣府より毎月発表されます。
景気動向指数には、コンポジット・インデックス(Composite Index:CI)と、ディフュージョン・インデックス(Diffusion Index:DI)の2つがあります。
また、CIとDIのそれぞれについて、景気に先行する「先行指数」、景気の現状を示す「一致指数」、景気に遅れて動く「遅行指数」の3つがあります。
現在、景気動向指数(CIとDI)の算出には29項目の基礎指標が用いられています。
そして、CI、DIともに先行指数の算出にはこのうちの11項目が用いられます。(新規求人数、消費者態度指数、マネーストック、東証株価指数など。)
つまり、CIとDIとでは、算出の基になる基礎指標は同じものですが、算出方法が異なるというわけです。
同様に、一致指数の算出には基礎指標のうち営業利益(全産業)や有効求人倍率などの9項目が、遅行指数の算出には家計消費支出や消費者物価指数などの9項目が用いられます。
なお、DIというと、景気動向と日経平均株価①のところでも書いた業況判断指数のDIと同一の表記で紛らわしいのですが、ここでは景気動向指数のDIであり、両者は異なるものになります。
2.CIとDIの違いや見方
さて、ここからは景気動向指数のCIとDIの違いについてです。
まずCIの方ですが、これは景気変動の大きさを量的に把握するための指標で、その算出方法はかなり複雑なものとなっています。
一方、DIは景気が上向きか下向きかといった、景気変動の方向性を把握するための指標で、その算出方法も割とシンプルです。
また、従来はDIを中心とした発表でしたが、2008年4月からは国際的にも主流となっているCI中心の発表へと移行しています。
そして両者の見方についてですが、CIでは100より上昇していれば景気は拡張局面、100より低下していれば景気は後退局面にあるとされます。
一方のDIでは、50%より高ければ景気は上向き、50%より低ければ景気は下向きといった見方がされます。
3.CIと日経平均株価
それでは、景気動向指数と日経平均株価との関係性について見ていきたいと思います。
まずは、CIの方からですが、1985年1月以降のCIの各指数と日経平均株価との推移を示したのが以下の図になります。
CIと日経平均株価の推移(1985年1月~)
この図を見ると、CIの先行指数(赤の線)と日経平均株価の底値圏は概ね一致しているように見えます。
しかし、具体的にCIがどの程度の数値まで下がれば、日経平均株価が底値圏かというのを見極めるのは厳しいものがあります。
ただ、前述したCIの見方を参考にして、一致指数が100を下回ってくると、日経平均株価は概ね底値圏となっているということが言えそうです。
4.DIと日経平均株価
次にDIの方ですが、以下の図は1980年1月以降のDIの各指数と日経平均株価との推移を示したものです。
DIと日経平均株価の推移(1980年1月~)
この図から明らかなように、DIは変動が激しく、そのままでは判断がしづらいということが分かります。
そこで、先行指数のみを抽出して、さらにその3ヵ月移動平均処理を施したのが以下の図になります。
DI(先行指数3ヵ月移動平均)と日経平均株価の推移(1980年1月~)
この図からは、DI(先行指数3ヵ月移動平均)の15%水準(赤の点線)が日経平均株価の底値圏を概ね示唆しているように見えます。
このように、景気動向指数のCIとDIや、景気動向と日経平均株価①のところで書いた業況判断指数や日経産業天気インデックスとを組み合わせてみることで、大まかにでも日経平均株価の底値圏を見極める助けとなるのではないでしょうか。