そもそも投資をする必要性はあるのか?
このことに関しては、あまり議論されることが少ないように思いますが、とても大事なことだと考えています。
なぜなら、もし投資をする必要性がないのであれば、投資を始めること自体が間違っているからです。
そして、この投資の必要性を考察する際に、まず知っておきたいことがあります。
それは、投資は「9割が負ける世界」だということです。
ただ、この「9割」に関しては、データの出所によってばらつきがあり、それがどのくらいの期間におけるものなのか等、詳細に関しては明らかではありません。
そこで、この「9割」という数字を検証するために、会社生存率を参考にしてみたいと思います。
これに関しては国税庁のデータベースがあり、それによると、会社生存率は5年で約15%、10年で約6%となっています。
投資家の生存率も似たようなものと考えるのであれば、5~10年で9割の投資家が負けてしまうといえることになります。
では、5年や10年といった期間で、ほとんどの投資家が負けてしまうのであれば、投資はしない方がいいのでしょうか。
これは難しい問題ではあるのですが、投資をしないことによるリスクというものが存在するのも事実です。
実際、書店なんかでは、日本の国債暴落、財政破綻や、それに伴う円安、ハイパーインフレなどについて書かれた本が並んでいるのをよく見かけます。
当然そういった書籍には、過度に危機を煽って読者の興味を引きつけることを狙っている面もあります。
また、何年も前から同じ主張を繰り返していて、ずっと外れ続けているようなものもあります。
ただ、当面はそういった出来事が起こる危険性がないとしても、今後そういったことが絶対に起こらないという保証はどこにもありません。
そして、投資をすることで、そうした有事における衝撃を緩和することが期待できるのは確かです。
つまり、資産を増やしていく「資産形成」というよりは、有事の際に資産を守るという「資産防衛」に重きを置いて投資を行うという意義もあるのです。
もちろん、投資で資産を増やしていくことができれば、それに越したことはありません。
というのも私たちの多くが、将来への不安を抱かざるを得ないような、厳しい状況に置かれているからです。
例えば、経済のグローバル化により、雇用が新興国へと奪われたり、賃金に関しても新興国との比較で平準化が進んでいます。
さらには今後、人工知能やロボットの進化により、様々な業種で雇用が失われていくことが予想されています。
また、社会保障費も年々増加しており、年金も減額や受給年齢の引き上げなど、大して当てにはできません。
そういった厳しい状況の中で、投資を新たな収入源(キャッシュポイント)とすることができれば、将来への不安を軽減することにつながります。
ですから、「9割が負ける」と言われる、非常に厳しい世界ではありますが、コツコツと努力をし続ける覚悟のある人にとっては、投資の世界はチャレンジするに値するものだというのが私の考えです。