1.著名投資家の予言
ここでは、著名投資家として、ジム・ロジャーズを例に挙げて書いていきたいと思います。
ジム・ロジャーズは、ウォーレン・バフェットやジョージ・ソロスと並んで、世界三大投資家の一人として知られます。
彼は、2004年に「商品の時代」という著書を出版し、その中で株の時代は終わったとして、商品投資を積極的に勧めていました。
そして、その後どうなったかというと、そこからリーマンショックが起こるまで、世界のほとんどの株式市場がきれいな右肩上がりとなるのと同様に、金属やエネルギー、穀物といった商品のほとんども上昇していました。
そういった意味では、確かに商品価格は上がっていましたが、株式市場も好調であったため、株の時代は終わっていなかったということで、半分的中ということになります。
また彼は、21世紀は中国の時代だと主張し、娘に中国語を学ばせるほどでしたが、当然その中国の株式市場についても発言を繰り返しています。
具体的には、2006年中旬から2007年下旬にかけて、上海総合指数が大きく上昇する中での彼の発言を見ていきたいと思います。
まず彼は、上海総合指数が3000近くまで上昇した際にバブルを指摘していましたが、その後4000まで上昇するとその前言を撤回していました。
さらに、指数が6000近くのまさに天井圏のところでは楽観的な見方を表明していましたが、その後はリーマンショックもあり大きく下落してしまいました。
相場で、ことごとく予測を外す人を「曲がり屋」と言ったりしますが、ジム・ロジャーズほどの投資家であっても、ここまで曲がることがあるのです。
他にも度々、予測を大きく外しており、彼自身も下手なトレーダーだということを自認しています。
2.ポジショントーク
もちろん、ジム・ロジャーズの発言のいくつかはポジショントークに過ぎなかったのかもしれません。
ポジショントークというのは、特定のポジションを持っている人が自分にとって有利な方向に相場を誘導するような発言を行うことです。
特に、著名投資家の場合にはその発言がこのポジショントークであるという場合が少なからずあるのです。
また、著名投資家の発言に限らず、証券会社などの金融機関の相場見通しや、場合によっては個人投資家のブログなどもポジショントークであるといえます。
もっとも、証券会社は投資信託を売らないといけないので、常に強気の市場予測をせざるを得ないという事情はあるのでしょうが。
他にも、2016年から2017年にかけて、いくつかの海外の投資ファンドがある特定企業の売り推奨のレポートを公表するということがありました。
もちろん、それらの海外ファンドはあらかじめ当該企業を売ってからレポートを出し、株価が下がったところで買い戻すという手口です。
このように、著名投資家の発言といえど当てにはならず、またポジショントークという場合もあるので、注意が必要なのです。