投資の基礎知識・理論・心理

リスクその2:投資における一般的な意味でのリスク

リスク その1:投資でいうところのリスクとは?で書きましたが、投資においてリスクと言った場合には、一般に標準偏差のことを指します。

ただ、もちろん投資の世界でも一般的に使われるのと同様の意味で、リスクという言葉が使われることも多々ありますので、ここではそれについて書いていきたいと思います。

1.種々の投資におけるリスク

一般に、投資におけるリスクというと、価格変動リスク、為替変動リスク、金利変動リスク、流動性リスク、信用リスク、地政学的リスクなど実に様々なものがあります。

本題に入る前に、これらの中でも、少し分かりにくいと思われるリスクに関してだけ簡単に説明しておきます。

まず、流動性リスクというのは、市場における取引量が少ないために、すぐに売買できなかったり、希望の価格で売買できなかったりするリスクのことです。

次に、信用リスクというのは企業の経営悪化や倒産、国の財政難による債務不履行などといったリスクのことをいいます。

そして、地政学的リスクとは、テロや紛争、戦争などによるリスクのことになります。

このように投資には様々なリスクがあるわけですが、ここでは少し違った観点から、リスクというものについて書いていきたいと思います。

2.損失リスクと機会逸失リスク

それは、損失リスクと機会逸失リスクという二つのリスクについてです。

まず、損失リスクというのは文字通り、損失を出してしまうリスクのことです。

一方、機会逸失リスクというのは、いわゆる「持たざるリスク」のことで、投資をしていれば得られたかもしれない利益を、投資をしなかったことにより取り逃してしまうリスクのことをいいます。

ここからも分かるように、この両者はトレードオフの(相反する)関係にあります。

どういうことかというと、損失リスクを減らそうとして取引数量を小さくすれば、収益機会を十分に捉えることができず、機会逸失リスクが増加してしまいます。

逆に、収益機会を十分に捉えようとして取引数量を大きくすれば、確かに機会逸失リスクは減りますが、損失リスクが増加してしまうのです。

ですから、同時にこの二つのリスクを減少させることには限界があり、両者のバランスを考えながら投資戦略を立てることになってきます。

ただ、ブラック・スワンのような不測の事態というのはごく稀にしか起こらないので、普段からそういった事態を想定して、取引数量を小さくし過ぎてしまうと当然、機会逸失のリスクが大きなものとなってしまいます。

しかし、リスク その1:投資でいうところのリスクとは?のところで取り上げたLTCMの例のように、投資の世界ではたった一度の負けで、破綻に追い込まれてしまうほどの巨額の損失を負ってしまうといったリスクがあります。

どれだけ利益を積み重ねようと、たった一度のブラック・スワンなどといった不測の事態によって、その利益のほとんどあるいは全てを失ってしまうリスクがあるのです。

現在、長きにわたって成功し続けているような投資家であっても、過去に一度や二度は非常に痛い目というのに遭っているものであり、それにより彼らは例外なく慎重な姿勢でもって投資に臨んでいます。

そして、不測の事態によって大きな損失を被ってしまわないためには、資金に余力を持たせておくことが何よりの防御策となります。

当然、それにより機会逸失リスクは増大することになってしまいますが、長期にわたって投資を継続していくのであれば、決して機会逸失リスクを恐れてはなりません。

たった一度の負けで、市場から退場させられてしまわないようにすることが最も大事なことだからです。

3.大損失という大罪

また、全てを失ってしまう程までとはいかなくても、大きな損失を出してしまうと、それだけその分を取り戻すのが困難になります。

例えば、10%の損失であれば、そこから残った資金の約11%の利益を上げれば元の水準まで回復することができます。

それが20%の損失となってしまうと、元の水準を回復するのに、25%の利益が必要となってしまいます。

さらに極端なことをいえば、50%の損失をだしてしまうと、そこから100%の利益を出さないと元の水準にまで戻らないのです。

このように、損失が大きくなればなるほど、その損失を取り戻すのが困難になってしまうのです。

そのため、大きな損失を出してしまう事態というのは、何としてでも避けなければなりません。

そして、大きな損失を避けるためにも、やはり資金に余裕を持たせておくということが有効な手立てとなるのです。

4.常に十分な余力を残しておく

ただ、この資金に余力を持たせておくという選択をすることは、頭では分かっていても決して容易なことではありません。

しかし、何かを選択するということは、他の選択による可能性を諦めるということでもあります。

つまり、何かを選択する際には、同時に何を諦めるかを決めなければなりません。

もちろん、投資で高い収益を上げるというのは望ましいことではありますが、長期にわたって投資を続けていくためにも、まずは生き残らなければなりません。

そして、資金も大きく減らしてしまわないようにしなければなりません。

そのためにも、日々の収益は多少減らすことになっても、万一の際に備えて十分な資金の余力を持っておくことが何より重要だと考えているのです。

ですが、やはりこれは「言うは易く行うは難し」です。

くどいようですが、本当にこれは口で言うほど簡単なことではありません。

私もそうなのですが、ついつい当初決めていた数量以上の取引をしてしまいがちです。

そのときはたとえ上手くいっていたとしても、普段から資金に十分な余力を持たせておかなかったことで、いつ自分の首を絞めることになるか分かりません。

ですから、そんなときはいつも次の言葉を思い起こすことで、自分を戒めるようにしています。

それは、世界一の投資家ともいわれるウォーレン・バフェットの、

「潮が引いたとき、初めて誰が裸で泳いでいたかが分かる」

という言葉です。

これは、ブラック・スワンのような不測の事態が起こった時こそ、普段から備えていたものが救われるのだという意味になります。

長く投資をしていれば、自分が正しく、周りが間違っているように思えても、長期にわたって報われないような時というのが、遅かれ早かれ必ず訪れることになるでしょう。

そんなときでも、この言葉を思い起こすことできっと勇気づけられるはずです。

あなたも是非この言葉を胸に刻んで、日々の投資に臨んでいただければと思います。

 

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