読書録・書評

【読書録・書評】『大予測 「投資テーマ」別 成長業界&企業 2018-2019』

ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。

1.書籍の概要

まずは、本書の概要からです。

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  • マニアック度:
  • 分類:株式投資、投資テーマ

本書では、注目の投資テーマおよび、それに関連する企業について書かれています。

本書の章立ては、以下のようになっています。

  • 序章  :世界と日本の重要経済テーマ
  • 第1章:日本の政策が期待されるテーマ
  • 第2章:新技術・新市場
  • 第3章:世界の注目国

ここでは、本書の中で気になった部分や参考になった部分について、一部を抜粋しながらレビューしていきたいと思います。

2.主な投資テーマ

本書の「はじめに」の冒頭では、次のように書かれています。

株式市場は、中長期的にみると、企業業績や経済環境といったファンダメンタルを映す鏡と考えられます。したがって、投資を行う際、現在、世の中で起こっている変化を読み解き、日本や世界のファンダメンタルの将来像をどう描くかが重要なカギとなります。

ここに書いてあるような、日本や世界のファンダメンタルを掴む上で、本書が役に立つと思われます。

より具体的には、第1章では、「働き方改革」や「人材活用」、「健康立国」、「ESG投資」、「農業改革」、「防災・防衛」、「東京オリンピック」、「大阪万博」、「観光立国」などといったテーマが取り上げられています。

また、第2章では、「IoT」、「人工知能(AI)」、「サービスロボット」、「物流革命」、「自動運転」、「FinTech」、「有機EL」、「AR/VR技術」、「宇宙」、「空飛ぶクルマ」、「高速鉄道」、「サイバー攻撃」、「5GとLPWA」、「電気自動車(EV)」、「再生可能エネルギー」、「再生医療とゲノム編集」などといったテーマが挙げられています。

そして、第3章では、「世界の注目国」とのことで、「ユーロ圏と英国」、「中国」、「東南アジア」、「インド」、「メキシコ」、「トルコ」、「ブラジル」、「南アとアフリカ諸国」、「オーストラリア」、「サウジアラビア」が挙げられています。

これらのテーマそれぞれについて、4ページ程度の解説があり、それに関連する6銘柄の簡潔な説明が添えられるといった構成が主なものとなっています。

ここでは、これらのテーマの中から、ごくごく一部にはなりますが、気になったテーマとそれに関連する企業を取り上げていきたいと思います。

3.外国人人材の活用

この項では、日本の労働市場は外国人に閉鎖的だが、介護や福祉といった分野では外国人労働者の受け入れが急務であるといったことが書かれています。

また、外国人材の「量」だけでなく「質」の引き上げにも注力する方針を政府は掲げており、高度外国人材を誘致するためには環境整備が必要といったことにも触れられています。

このテーマに関連する企業の一つとして、「三菱地所(8802)」が挙げられており、次のようなコメントが添えられています。

総合不動産大手。東京・丸の内のオフィスビルの約3割を所有する。丸の内地区が魅力的なまちであり続けるため、日本への進出を目指す海外企業と海外への事業展開を目指す日本の中小ベンチャー企業などへの事業開発支援に同地区で取り組む。また、住宅事業においても、外国人居住者向けに緊急時の外国語対応のサポートを拡充するなど、外国人向けマンションを管理・整備。外国人労働者の職と住を支える。

4.五輪に続けるか「大阪万博」

この項では、大阪万博に関して次のように書かれています。

2017年4月、政府と大阪府は25年の国際博覧会(万博)承知を目指しBIE(万国博覧会国際事務局)に立候補を届け出た。開催地は18年11月のBIE総会で決定する。

大阪府・市が万博を誘致する理由として、もう一つ挙げられるのがIR(統合型リゾート)との関連である。万博会場の整備と共に、カジノを中心としたIR施設を設置することで、IRの誘致を手繰り寄せると共に、万博とIRの相乗効果で関西経済の振興を図ろうとする狙いがある。

そして、「大阪万博」に関連する企業として、「西日本旅客鉄道(9021)」が挙げられており、次のような解説が付け加えられています。

大阪万博、IRどちらかの招致が決まればJR桜島線終点の桜島駅から舞洲を経由し夢洲駅まで延伸することを検討。桜島線沿線にはユニバーサル・スタジオ・ジャパンもあり、実現すれば大阪に新たな観光ルートが完成し需要獲得に繋がるとみている。また万博招致で大阪の知名度が上がれば、大阪を起点とした西日本版の広域観光ルートの構築に繋がる。近年立て続けに世界遺産に登録された九州など相互に訪日外国人を誘導することができる。

また、「オリックス(8591)」も取り上げられており、こちらに関しては次のような説明がされています。

関西・伊丹・神戸、関西3空港の経営権を大阪エアポートと仏大手空港運営会社と共に取得。3社連合で運営する。3空港を合わせると滑走路は5本に達する。首都圏に匹敵する航空インフラを効果的に活用することが課題。大阪万博では会場アクセス拠点が儲けられる見込みだが、海を挟んで向き合う神戸空港との直線距離は約13キロと近い。大阪万博を機に関西の玄関口としての存在感をアピールするきっかけになろう。

5.観光立国(世界遺産、民泊、IR)

この項では、「世界遺産が九州沖縄観光の目玉に!?」というところで、次のように書かれています。

九州沖縄地方では、15年に「明治日本の産業革命遺産(九州・山口と関連地域)」が世界文化遺産に登録された。17年には「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群(福岡)」が世界文化遺産に登録された。また、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(長崎、熊本)」が世界文化遺産に、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島(鹿児島、沖縄)」が世界自然遺産に推薦された。早ければ18年に登録が決定する。こうした日本の世界遺産も、訪日外国人旅行者を惹きつける魅力となるだろう。

そして、関連する企業の一つとして、「九州旅客鉄道(9142)」が挙げられており、次のような解説が添えられています。

重要文化財の門司港駅を創建当時の姿に復元中。19年度に工事完了すれば新たな観光資源に。観光スポットに、アインシュタインも宿泊した重要文化財、旧門司三井倶楽部などがある。訪日外国人旅行者のみが購入できる特別企画乗車券「JR KYUSHU RAIL PASS」の販売数は、09年度3.2万枚から15年度24.6万枚へ約6.7倍増加した。韓国、台湾、香港、中国、タイを中心に、各地域に適した情報発信や販売促進を行っている。

6.幅広い場面で活用が進むIoT

「IoT」というのは、「Internet of Things」 の略で、「モノのインターネット」と訳されますが、この項では、次のように説明されています。

IoTの活用が様々な場面で進んでいる。IoTはPCやスマホのような情報機器のみならず、インフラや家電、自動車など、あらゆるモノがネットワークに接続され、人を介さずとも、モノ自らが情報を発信・受信し、動作する技術や概念のことだ。

日本は「IoTを実現するための技術」面の商機は大きい。ネットワークに接続されるIoTデバイスの数は増加を続けており、今後も年率15%程度での成長が見込まれる。それに伴い、センサーや受動部品など電子部品の需要も急増している。日本は多くの部品で高いシェアを持っており、世界の部品供給基地として活躍するだろう。

そして、関連する企業の一つとして、「村田製作所(6981)」が挙げられており、次のように解説されています。

積層セラミックコンデンサ、高周波部品などの受動部品世界首位。あらゆるモノが通信機能を持つことで、受動部品の需要は急増しよう。また、5Gによって通信の多重化や、ミリ波の活用が進むことで、高周波フィルタやミリ波対応製品の新規需要が生まれると想定される。高周波部品で実績を持つ同社はサプライヤーとして第一線で活躍するだろう。

7.人手不足を救うサービスロボット

この項では、「人手不足を抱える日本はロボットの活用が急務」ということで、次のように書かれています。

日本の人手不足が問題となる中、産業用ロボットが普及している製造分野にとどまらず、非製造・サービス分野でも、省人化につながるロボットの活用が進められている。

経済産業省などによると、日本のロボット産業の市場規模は、2015年の約1.6兆円から35年に9.7兆円まで拡大すると推計されている。さらに、現在の製造分野中心の構成に対し、35年には、すでに人手不足が深刻な物流、警備、清掃、介護・福祉といったサービス分野が市場の過半を占めることが見込まれる。

そして、関連する企業として、「安川電機(6506)」が挙げられており、次のような説明が添えられています。

独自の制御技術を持ち、機械の自動化に欠かせないサーボ(位置や速度などを制御)とインバータ(モーターの回転数を制御。モーター効率を上げ、省エネに貢献)で世界首位。産業用ロボットでは世界4強の一角である。サービスロボットにも注力しており、自動化が遅れている農業・食品製造や医療・福祉(介護やリハビリでの補助装置など)分野を育成している。ハウステンボスの「変なホテル」、「変なレストラン」で接客しているサービスロボットも一部手掛ける。

8.空飛ぶクルマ

この項では、近年急速に発達したドローン技術を積極的に取り入れることで、空飛ぶクルマの実用化に向けて注目が集まっているといったことが書かれています。

そして、関連する企業の一つとして、「日本電産(6594)」が挙げられており、次のような解説が付け加えられています。

空飛ぶクルマ実現のためには、小型・軽量かつ高速回転が可能なモーターが不可欠となる。同社は軽量モーターやモーターの回転を調節するための減速機を得意としており、すでに産業用ドローン向けにモーターと制御技術、プロペラを一体化させたモーター・モジュールを開発している。今後、空飛ぶクルマが実用化された場合、信頼性の高い同社のモーター・モジュールが広く採用される可能性がある。

9.総括

本書では、非常に様々なテーマについて網羅的に書かれており、かつそれぞれについて簡潔にまとめられています。

それでも、かなりのボリュームとなっていますが、それぞれのテーマは基本的に独立しているため、気になる部分だけ読むといったこともできます。

ただ、より広い視点から見てみることで、自身の想定していた業界・市場の将来像や投資シナリオの修正を迫られることもあるかと思います。

もちろん、有望市場や成長企業を発掘するヒントになることもあるでしょうから、もし読まれるのであれば、一通り目を通すことをお勧めします。

そして、本書で取り上げられているテーマの中でも特に「新技術」に関しては、実用化にはまだまだ時間がかかると思われるようなものも多く、関連する企業が多岐にわたるような場合もあります。

一方で、コングロマリット(複合企業)においては、関連企業として取り上げられていても、実際に関係してくるのは一部に過ぎないといった場合もあります。

また、関係する部分が大きかったとしても、その将来への強い期待から、既にかなり大きく買い進められており、株価が割高となっている場合も多く見受けられます。

そういったところは、個別株投資における銘柄選択の難しいところでもあり、醍醐味でもあるといえます。

いずれにしても、本書は個別株への投資を行っている人にとっては、目を通しておく価値のある一冊だといえるのではないでしょうか。

 

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