読書録・書評

【読書録・書評】『お金は寝かせて増やしなさい 』

ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。

1.書籍の概要

まずは、本書の概要からです。

  • お役立ち度:
  • 難易度:
  • マニアック度:
  • 分類:資産運用法、投資戦略、インデックスファンド

本書では、「インデックス投資」という投資法について書かれています。

インデックス投資とは、「世界中に分散したインデックスファンドに積み立て投資して長期保有すること」です。

また、インデックスファンドというのは、日経平均株価などの各種指数(インデックス)に連動する運用成果を目指す投資信託のことになります。

なお、本書の章立てとしては、以下のようになっています。

  • プロローグ:私がたどり着いた「寝かせてお金を増やす方法」
  • 第1章:金融のど素人でもプロと互角以上に戦える「インデックス投資」
  • 第2章:寝かせて増やすインデックス投資の実践法
  • 第3章:おすすめの金融機関&口座開設の手順と気になるNISAとiDeCo
  • 第4章:始めるのはカンタンだけど続けるのは意外と難しい
  • 第5章:涙と苦労のインデックス投資家15年実践記
  • 第6章:貴重情報! インデックス投資の終わらせ方

ここでは、本書の中で気になった部分や参考になった部分について、一部を抜粋しながらレビューしていきたいと思います。

2.インデックスファンド VS アクティブファンド

本書の第1章では、「投資信託の99%は不要!」といったことや、インデックスファンドとアクティブファンドとの比較について書かれています。

アクティブファンドとは、インデックスを上回る運用成果が得られるように、専門家が投資先や売買のタイミングを判断して運用を行う投資信託のことです。

そのアクティブファンドについて、次のようなことが書かれています。

アクティブファンドの70~80%はインデックスファンドに負けている。

この傾向は日本だけではありません。世界的に同じ結果が出ています。

アクティブファンドがインデックスファンドに負けてしまういちばんの理由は、手数料(コスト)が高いことだと言われています。

また、本章では、金融機関の悪質な「手数料稼ぎ」や「回転売買」についても触れられています。

回転売買とは、「高コスト(かつ無用にハイリスク)な投資信託を次から次へと買わせ、かつ乗り換えさせて購入時手数料を稼ぐ」ことです。

本章にも書かれていますが、金融機関が積極的にすすめてくるものは、いっさい相手にしないことに尽きます。

3.インデックス投資実践法

第2章では、インデックス投資の実践法についての内容となっています。

まずは、リストラ、長期入院、災害など、いざというときに備えて、「生活防衛資金」を「生活費の2年分」を目安として、銀行預金など流動性の高い金融商品で確保してことが望ましいと書かれています。

また、自分のリスク許容度を知り、それに基づいて資産配分を決めていくことが勧められています。

その際に参考になるものとして、「日本株式」、「先進国債券」などの各資産クラスへの配分比率から、期待リターンやリスクを計算してくれる無料のツールが紹介されています。

そのツールは、「ファンドの海」というブログで提供されているものですが、このツールで使用されている各資産クラス間の相関係数を見てみると、少し古いデータを基にしています。

近年では、各資産クラス間の相関係数が高まっているため、このツールでの計算結果は、あくまで参考程度とする必要があるでしょう。

ちなみに、本書では、為替リスクが高い「海外債券」や、市場規模の小さい「REIT(不動産投資信託)や「金(ゴールド)」などはポートフォリオに組み入れず、国内外の株式や国内債券のみに投資するという考え方をしています。

そして、投資対象のうち、国内外の株式に投資するインデックスファンドとしては、主に以下の4本が紹介されています。

  • 三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド
  • eMAXIS Slim 先進国株式インデックスファンド
  • ニッセイ新興国株式インデックスファンド
  • 楽天・全世界株式インデックス・ファンド

一方、国内債券に関しては、現在の日本が超低金利状態にあることから、「国内債券インデックスファンド」に投資する代わりに、国内債券市場が正常化するまでは次のような商品が提案されています。

  • 個人向け国債 変動10年
  • ネット銀行の定期預金

次の第3章では、インデックス投資に最適な金融機関として、楽天証券およびSBI証券が挙げられています。

ここで、大手証券や銀行に関しては次のように書いています。

大手証券や銀行は、窓口でのコンサルティングを売りにすることが多いですが、顧客の資産形成に役立つアドバイスをできているかは甚だ疑問です。

野村證券出身で、日本の確定拠出年金の投資教育やDCファンドの低コスト化に尽力した大江英樹氏は、「証券会社・銀行の窓口や外回り営業担当は、『販売のぷろ』であって『運用のプロ』や『アドバイスのプロ』ではない」と喝破しています。

また、最近話題のロボアドバイザーについては、以下のような理由からおすすめできないと書かれています。

投資商品の運用コストとは別にロボアドバイザーの会社が徴収する手数料が、保有資産金額の年間1.0%とべらぼうに高いからです。

なお、本章では「NISA」や「つみたてNISA」、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」についても説明されています。

続いて第4章は、インデックス投資を続けることの難しさや、継続するための心構えや考え方などといった内容です。

そこでは、インデックス投資が、人の欲望をエンジンとした資本主義経済の長期的発展に賭ける投資法だと腹に落とすことの大切さなどが書かれています。

そして第5章は、著者自身の15年にわたるインデックス投資の実践記となっています。

この第5章でも、リーマン・ショックのような大暴落時など、「売りたくなったときに我慢すること」や「信念を持ってバイ&ホールドすること」の重要性について書かれています。

4.インデックス投資の出口戦略

最後の第6章では、一般に触れられることの少ない、「インデックス投資の出口戦略」について書かれています。

そこで挙げられていたのが、「ターゲット・イヤー型ファンド」のように、加齢に伴って、「リアロケーション(資産配分比率の変更)」を行うということです。

具体的には、加齢とともにポートフォリオの債券比率を高め、株式比率を減らしていくというものになります。

また、「「定額」ではなく「定率」で取り崩す」ということも挙げられています。

これは、ポートフォリオ全体と同じ資産配分で、インデックスファンドなどを売却していくことになります。

その際の目安としては、次のように書かれています。

『ウォール街のランダム・ウォーカー』では保有資産の4%を取り崩す「4%ルール」をすすめています。考え方としては、ポートフォリオの期待リターンからインフレ率を引いた数字が年間の取り崩し比率となります。

5.総括

本書では、筆者の実践をもとに、インデックス投資を手間をかけずに行うための方法や根拠となる理論、考え方などが書かれています。

投資に時間や労力をかけたくないという人にとっては、本書の方法をそのまま実践するだけで、長い目で見た場合に、多くのプロを上回るようなパフォーマンスを上げることができるかと思います。

もちろん、本書にある投資手法が最善というわけではありませんが、最善と思われる手法を実践しようとすると、当然に手間がかかります。

その最善と思われる手法について書き始めるとキリがないのですが、一つだけ言うのであれば、本書で紹介されているようなインデックスファンドに投資するよりは、海外ETFの方に投資する方が良いだろうということです。

海外ETFに関しては、インデックスファンドと同様に、証券会社の口座から売買することができます。

なお、証券会社は、海外ETFの取り扱いの多い、マネックス証券や楽天証券、SBI証券のいずれかで口座開設すれば間違いありません。

最後に補足ですが、本書で紹介されているような、定額の積み立て投資をしていくといった場合には、確かにインデックスファンドの方が向いています。

また、インデックスファンドであれば、配当金の再投資も自動で行われます。

しかし、海外ETFはインデックスファンドよりも、信託報酬(運用管理手数料)が低水準であり、なおかつ様々な資産クラスの銘柄および、国・地域やセクター別の銘柄がそろっているのです。

つまり、多少の手間はかかってしまうものの、海外ETFを利用した方が、投資戦略の幅は確実に広がることになります。

以上のことから、ある程度まとまった資金があるような場合には、インデックスファンドよりも海外ETFを利用した方が良いでしょう。

 

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