読書録・書評

【読書録・書評】『勝率9割の投資セオリーは存在するか 長期データを検証し分析する』

ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。

1.書籍の概要

まずは、本書の概要からです。

  • お役立ち度:
  • 難易度:
  • マニアック度:
  • 分類:日本株、米国株、ドル円相場

本書では、市場のジンクスや通説、各種指標などのそれぞれについて、その株式市場や外国為替市場における有用性を検証した結果が書かれています。

検証結果は、「かなり参考になる」の「A」、「参考になる部分がある」の「B」、「あまり参考にならない」の「C」の3つに、筆者の主観で分類されています。

章立てとしては、第1章の「ジンクス編」、第2章の「市場分析編」、第3章の「経済分析編」から成っています。

では、各章について、気になった部分を一部だけ取り上げていきたいと思います。

2.第1章:「ジンクス編」

本章では、アノマリーとしても有名な、「1月効果」や「セル・イン・メイ」、「十二支と日本株」などについて書かれています。

より具体的には、米国株(S&P500:1929~2015年)における「1月効果」の検証結果は「B」となっていました。

他の月と比べ、1月は米国の株価の上昇が大幅な月だ、という傾向は見出せなかった。ただし、1月は株価が下がることが少なく、底堅い月であるとはいえる、という結果でした。

一方、日本株(日経平均株価:1950~2015年)における「1月効果」の検証結果は「A」となっていました。

日本では、1月は株価騰落率の平均値で見て、最も株価が上がりやすい。ただし、米国と異なり、1月に株価が大きく下振れしたこともある、という結果でした。

また、「セル・イン・メイ」に関しては、上記と同様の期間において、米国と日本ともに検証結果は「B」となっていました。

米国では、5~7月の株価の推移は、他の時期に比べてやや精彩を欠くといえる。その意味では、5月に株価をいったん売るのはよいのかもしれない。ただ9月など、もっと株価が下がりやすい月はある、という結果でした。

一方、日本では、5~8月の株価の動きは精彩を欠く。また9月の株価が下がりやすく、年末年始は株価が上がりやすい。この点から、米国と同様に、5月に入るときに売り、9月に買い直して年末年始も保有する、という投資スタンスは一理あるように思われる、という結果でした。

そして、「十二支と日本株」では、「B」という検証結果でした。

つまり、十二支別の日経平均株価の年間騰落率を見ると、「辰巳天井、午尻下がり」といわれるように、辰年から巳年にかけて株価が上昇し、午年に下がることが多い。また、子年に売って丑年か寅年に買い戻すのも良さそうに見える、という結果でした。

本章では他にも、「総選挙と日本の株価」や「参院選と日本の株価」といったものから、「巨人軍の成績と日本株」、「スーパーボウルの勝敗と米国株」といった一風変わったものなどが検証されています。

3.第2章:「市場分析編」

本章では、「移動平均乖離率」や「騰落レシオ」、「外国人売買動向」、「日本株のPER」、「日本株のPBR」などについて書かれています。

まず、「移動平均乖離率」に関しては、日経平均株価、ドル円相場ともに、「A」という検証結果となっていました。

日経平均株価では、50日移動平均線から10~15%プラス乖離すると、反落する傾向がある。また、10~20%マイナス乖離すると、反転上昇することが多いという結果でした。

一方、ドル円相場では、その毎週の平均値と52週移動平均値との乖離率を見ると、プラスマイナス15%近辺に達したときは、その後相場が反転することが多いという結果でした。

また、「騰落レシオ」に関しては「A」という検証結果となっていました。

東証1部の騰落レシオを見ると、銘柄数ベースでは140%前後、出来高ベースでは160~200%程度が、相場の過熱を示している。売られ過ぎについては、ともに80%前後がサインとなっているという検証結果でした。

外国人売買動向」に関しては、毎週の外国人投資家の株式の売買で、株価が左右されることが多く、「A」という検証結果となっていました。

日本株のPER」に関しては、日本の予想PERを見ると最近は、12倍を割り込むと株価は売られ過ぎ、16倍を超えると買われ過ぎといえるようだという結果で、検証結果は「A」となっていました。

日本株のPBR」に関しては、1倍割れは株価の売られ過ぎを表しており、「B」という検証結果になっていました。

本章では他にも、「購買力平価とドル円相場」、「公的資金の売買動向」、「NT倍率」、「日米のバフェット指数」、「ブルベア指数」、「日米のマネタリーベース」などについても検証されています。

4.第3章:「経済分析編」

本章では、「米大統領選と米国株価」、「米大統領選と米ドル相場」、「円相場のオリンピックサイクル」などについて、書かれています。

まず、「米大統領選と米国株価」に関しては、「A」という検証結果となっていました。

大統領選挙前年が最も株価(S&P500指数)が上がりやすく、株価が下がったことがほとんどないという結果でした。

また、「米大統領選と米ドル相場(名目実効レート)」に関しては、「B」という検証結果となっていました。

大統領選挙年とその翌年は米ドルが上昇しやすい(特に大統領選挙年は上昇傾向が強い)が、他の2年は米ドルが下落しやすい傾向があるという結果でした。

そして、「円相場のオリンピックサイクル」に関しては、「B」という検証結果となっていました。

オリンピックのタイミングと円相場の動きがぴったり合うということは全くないが、円安・ドル高のピークは、8年前後で現れることが多いようだ、という結果でした。

本章では他にも、「日銀短観業況判断指数(DI)」や、「鉱工業在庫指数」などについても検証されています。

また、「父ちゃんの立場指数」や「雇用元気指標」といった、筆者オリジナルの指標についても書かれています。

5.総括

本書では、図表は豊富に載せられているものの、それぞれの指標を株価指数や為替相場の値動きと併せて示しているものが少なかったように思いました。

ですから、株価指数や為替相場と、各種指標との関連性が把握しづらいという点は否めません。

お、ここで取り上げた、ジンクス(アノマリー)や指標などについては、実はこのブログでもその多くを分析、検証しています。

もちろん、株価指数や為替相場の値動きと比較した図も載せていますので、よろしければ冒頭メニューの「カテゴリー」>「相場のデータ・指標」よりご覧ください。

とはいえ、本書では、ここで取り上げたもの以外にも多くの指標などについて、網羅的に検証されています。

また、本書で取り上げられている各項目はそれぞれ独立しているため、前から順に読んでいくというだけでなく、興味のある部分だけ読んでいくといった読み方もできます。

そのため、本書は、投資戦略のヒントを得たり、投資雑学を知ったりという意味では、一読の価値がある書籍ではないかと思います。

 

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