相場のデータ・指標

「東証REIT指数」とREITの投資部門別売買状況

ここでは、REITの投資部門別(投資主体別)の売買状況と、東証REIT指数との関係性について見ていきたいと思います。

なお、REITおよび東証REIT指数については、以下の記事で詳しく書いていますので、よろしければご参照ください。

1.投資部門別売買状況とは?

投資部門別売買状況というのは、法人や個人、海外投資家、投資信託などといった投資部門別に、その売買状況が集計されたものです。

売買状況というのは、それぞれの投資部門についての「売り」もしくは「買い」の口数および金額になります。

また、投資部門別売買状況は、投資主体別売買動向とも呼ばれますが、この投資部門、あるいは投資主体というのは、まず自己委託の2つに大きく分けられています。

自己というのは、証券会社が自身の勘定で行った売買のこと(ディーラー業務)で、委託というのはその名の通り、取引参加者からの委託を受けて行われた売買のことを指します。

このうち後者の委託に関しては、以下のように細分化されています。

  • 委託内訳:法人、個人、海外投資家、証券会社
  • 法人内訳:投資信託、事業法人、その他法人等、金融機関
  • 金融機関内訳:生保・損保、銀行、その他金融機関

ここでは、これらのうち、海外投資家、投資信託、個人、金融機関、総計(すべての合計)について見ていきます。

なお、REITの投資部門別売買状況については、月間と年間のものがあり、月間の方は毎月第8営業日、年間の方は毎年1月の第10営業日に公表されています。

2.海外投資家の差引き売買金額累計

まずは、海外投資家の売買状況からです。

海外投資家は、J-REIT市場で約4割の売買比率を占めており、影響力の大きい投資主体となっています。

以下の図は、海外投資家の差引き売買金額を2007年1月を起点(ゼロ)として累計していった金額の推移になります。

この図を見る限りでは、海外投資家の売買による影響は思ったほど強いものではなく、多少の影響がある程度といったところでしょうか。

3.投資信託の差引き売買金額累計

次に、投資信託(以下、投信)の売買状況です。

この図からは、直近こそ売り越し傾向となっているものの、投信はJ-REIT市場において大きな買い手となってきたことが分かります。

投信の資産増減状況と東証REIT指数との関係性については、以下の記事で詳しく書いていますので、よろしければご参照ください。

 

4.個人の差引き売買金額累計

続いて、個人の売買状況になります。

この図を見ると、個人は一貫して売り続けてきたということが分かります。

しかも、2017年11月末時点における、個人の累計売り越し金額は約2.23兆円であり、同時点における投資信託の累計買い越し金額(約0.9兆円)の2倍以上となっています。

最近の堅調な株式市場を見ると、このJ-REIT市場における個人の売りによる資金が、内外の株式市場へと回っているのではないかと思われます。

5.金融機関の差引き売買金額累計

続いては、金融機関の売買状況です。

この図から、金融機関はほぼ一貫してREITを買い続けてきたということが分かります。

冒頭に書いたように、金融機関の内訳は、生保・損保、銀行、その他金融機関となっていますが、このうちの銀行には、信託銀行、都銀・地銀等が含まれます。

そして、その中の信託銀行を介して、日銀のJ-REIT買い入れが行われているのです。

ですから、この図で金融機関の売買状況が一貫して買い越しとなっていることに関しては、日銀によるJ-REIT買い入れが大いに反映されていると思われます。

ちなみに、日銀のJ-REIT買い入れについても、投信のところでご紹介した記事の中で詳しく書いていますので、よろしければご参照ください。

6.総計の差引き売買金額累計

最後に、全ての投資部門(投資主体)の差引き売買金額を累計で見ていったのが以下の図です。

この図を見ても分かるように、総計の差引き売買金額累計の推移と東証REIT指数との間には、そこまで強い相関は認められませんでした。(相関係数:約0.60

もちろん、ここまで見てきた海外投資家、投資信託、個人、金融機関や、それ以外の投資部門(投資主体)のものよりは強い相関を認めていますが、予想していたほど強いものではありませんでした。

ですから、REITの投資部門別売買状況のデータには、東証REIT指数の動きを説明するのに、単一で決定的な説明要因となるようなものはなさそうです。

となると、投信のところでもご紹介した以下の記事の中で書いている、日銀のJ-REIT買い入れや、「毎月決算型」投信および「国内 不動産投信」の資産増減状況の推移を追っていくことの方が有用だといえるかもしれません。

 

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